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インタビュー記事interview letter

2023.03.10

兵庫県対人援助研究所 主宰の稲松真人先生

稲松真人先生
I:稲松真人先生

m:今日は兵庫県対人援助研究所 主宰の稲松真人先生にお話を伺います。
先生は、ブログによると 対人援助、フリーランス講師というご職業でよろしかったですか(笑)。

I:そういう風にかたっています(笑)。

m:先生は障害者施設に10年、 高齢者施設に15年勤務されまして、介護職、相談員、ケアマネージャー、施設長を経て、2010年秋よりフリーランス講師として、人間関係や対人援助についての講演や講義、そして我々ケアマネージャーへのスーパーバイザーとして活動されています。

I:はい、今ご紹介いただいたみたいに、大学を出て身体障害者の施設に介護職として勤めて、途中から相談員その頃は指導員っていう、なんか偉そうな名前でしたけど。
障がい者施設指導員、それから同じ法人の従来型の特養、神戸で新しい高齢者総合施設ができるので、そこで現場を引っ張っていく役職をさせようということで。障がい者しか知らなかったのでですね。新しい高齢者総合施設では副施設長兼の相談員であったり、在宅部の統括だったり。 ケアマネージャーも5年ほどはしました。
最終的に施設長になって、そこで最後5年ほど施設長をしてたんですけど、理事長さんが途中で変わったんですね。
で、その理事長さんとはそりが合わなくて、 平たく言ったらた理事長と喧嘩みたいなことになる。

m:なんか、想像できませんけど。

I:法人やめますって言ってやめた。49歳の時です。
でも、まだ子供たちが学生だったので、それなりに収入はいるし、仕事は探さんとあかん。

(支援する人を支える、後方支援)

I:別の法人に行っても、結局は経営のこととか、お金のこととかしないと行けない。大事なことなんですけど、個人的にはそこにあんまり興味がないので。
そもそもが人と向き合うような仕事がしたいって言うてこの業界に入ったので、他の法人さんとか組織にお世話になると、やっぱり迷惑かけるやろうなと。

その頃、ケアマネージャーさんの研修講師であるとか、介護福祉士さんの講師とか、 施設連盟関係では、相談員の研修講師であるとか休みの日ほとんど講師してたの。家はほとんど寝に帰るだけみたいな感じで。いなかった。

研修の事務局の人がね。お忙しいのにすいません空いてる日ございませんかって言うてくれてたから、もしかして講師業だけにしたら、仕事そこそこ来るかなって。
それだったら組織に属さずに、いま、フリーランス講師って語ってますけど、ピン(一人)で仕事ができる。そっちで1回やってみようかな、と思った。
今までは利用者さんを支援する立ち位置で仕事をしてたのを、利用者さんを支援する人の育成とか、支援する人の後方支援的なポジションで、仕事ができたらなと。

で、スーパービジョンもしてるんですけど、(中略)現場で悩めるケアマネさんもいっぱい見てきて、そこを一緒に事例のこと考えたり、振り返ったりはできるかなと思って。

私自身もケアマネやってた時は悩んでてで、兄貴分みたいな先生に相談して、あ、 ここがあかんかったんやって思うのと、あ、ここができてるね、とかっていうのが、振り返りで気づかせてもらったりしたので、そういう場所も いるよねってことで、やりだしたんですね。

(兵庫県対人援助研究所)

I:フリーダンス業界には、業界の先輩がおるわけですよ。
そのフリーランス業界の兄貴分みたいな人と喋ってて、屋号をつけときって言われて。
フリーランス講師だけやったら、何の講師かわからないのもあるし、
肩書きがあった方が、売り込みもしやすいしっていうことで。
どんなんつけようと思ってたら、稲松さんの場合は、公の法定研修みたいな固い研修会の講師もするから、あんまりふざけてない名前がええんちゃうとかってアドバイスを受けて。
一生懸命考えてつけたのが、「兵庫県対人援助研究所」

経歴は障害者施設と特養ですけども、その間にそのケアマネしたり、ケアマネの職能団体の関わりをしたりしながら、講師業もやってたので。
講師とか、スーパービジョンで面接の仕事をしたりで、現在に至ります。

m:先生が言われる、支援する人を支援するっていうところが、本当に大事なところだと思うんですよね。
渡部律子先生の本の中である「パラレルプロセス」のところでも、 支援するケアマネージャーがいい支援を受けてたら、利用者さんにちゃんと向き合えるっていうのも、経験してきたところかなと思うんです。
現場で疲れてるケアマネージャーは、 何かを求めて、答えを探して、先生のところに来るんだろうなって。

(福祉ではない学生時代、そして)

:大学は、教育学科で心理学を専攻して、教育学科なのに教員免許を持っていない。(笑)
大学で文学部の教育学科で心理学を専攻してましたって言ったら、なるほど~ってみんな言うけど、授業はあんまり出てない。

:何してたんですか。

I:合唱団に入っていて、歌を歌いに行っていた。だから、卒業が決まった時に 稲松君の場合は文学部を卒業するのか、合唱団を卒業するのかわからないねって言われてましたから。
(中略)
高校3年の担任に進路どう考えてるのって言われた時に、人と接するような、人と向き合うような仕事 がいいなと思ってます。それが学校の先生なのか、社会福祉みたいなとこなのか、それは全然まだボワっとしてるんですけど、っていうような感じで。
うちの父親が(途中で)仕事を変えて、社会福祉の仕事をしてたりしたので。
それがあって、神戸の中学校から但馬の中学校に転校にして。ああ、こういう 福祉の仕事もあるんだ、ま昔の中学生のことやから、体が不自由な 困ってる人を助ける仕事なんだ、ぐらいの簡単なことで。
今みたいに「自立」ていうことは全然考えてなかった。

大学を卒業して何するかって時に、親父の仕事の別法人に勤めてる方がおられて、一人、男子職員取ろうと思ってるんだけど、来ないかって言って誘っていただいた。
うちの父親がその福祉の仕事をしだした関係で、こういう仕事があるんだってわかって、母親は家事専業でしたけど、みんなで頑張らんといかんという話やから、調理師の免許を取って、厨房のおばちゃんになり、その頃大学に行くって言ってた兄は、社会学部の社会福祉学科に行って、今は知的障害者の方の施設の法人の理事長をしています。

:福祉に近いところで育てられたんですね。

:そう、だから、すごい仕事だっていうイメージは、あんまりないね。

(心理学とのかかわり)
:森田さんにも言われたように、よく心理のほうですよねっていわれるのは、イメージとしたら、カウンセリングのイメージを持っていただいてる方も多いです。実際に話は、聴くだけで。
スーパービジョンじゃなくても、本当にカウンセリングみたいに話聞いてっていうことだけのこともある。元々心理学っていう学問は好きだったんですけど。
臨床心理みたいなところに足突っ込んでいくのは、障害者施設に入って相談員兼務になった時に、ご家族とか、 障がい者の方、ご本人からも相談を受けるんですね。
その時に、きっちり人の話聞けるようにならんとあかんなっていうのがあって。でその頃にカウンセリングの勉強始めたり、エンカウンターグループっていう、心理系のカール・ロジャーズっていう人が始めたセッショングループに、毎年参加したり。そこで出会った先生から箱庭療法を教えていただいた。

(エンカウンターグループ)
:エンカウンターグループっていう名前が出てきたんですけど、これは一体どういうものなんですか。

:カール・ロジャース、カウンセリングの父って言われる人です。マズローっていう有名な心理学者が人間性心理学っていうのを1番初めに立ち上げた人がいて、その仲間。
フロイトとか精神科のお医者さんが相談業務とか、心理療法とか、精神分析みたいなことをやるっていうのが主流だった中に、 お医者さんじゃなくて、心理学者であるカール・ロジャースがカウンセリングっていう面接を通して、心のしんどくなってる人を癒していくっていうことに繋がるっていうことをやった人。

個人面接じゃなくて、少人数でグループで集まって、一緒に時を過ごす、内面に向き合うような、セッショングループですね。
エンカウンターっていうのは、直訳すると「出会い」っていうこと。

その小グループで他者に出会うっていうことと、他者と向き合う中で自分に向き合って、新しい自分に出会うとか、いろんな意味が取れると思うんですけど。
そういうグループに一時入って、そこで修行っていうか、トレーニングはさせてもらった。

ロジャースのビデオとか見たら椅子に座ってるけど、日本は10畳ぐらいの部屋に10人前後の人が座って、 基本的にはテーマがないので、話したい人が話す。
話したくなければ話さなくていい。基本的なベーシックなグループは、決められた時間はそこにいましょうっていうぐらいのことが決まってて。 カウンセラーの先生がファシリテーターで入る。
基本的には何を言っても許されるし、意図して傷つけようと思わなければ許される。自由な空間。
そこで気づいたのは、、僕黙っとれるんやってこと。
3時間ぐらいのセッションの中で一言も発言しないことってのはあるし、それが別にしんどいわけでもない。

今からご自由な時間を過ごしましょう、お話したい方があったら、お話してください、で始まる。
初めて会うようなところで、昨日のテレビの話なんですけどて、そんな話できないじゃないですか。そんな話したいわけではないから。
じゃあ、私はここで何が話したいんだろうと思ったら、 あ、最近こんなこと感じたよなって、あれだったら、ちちょっと話してみたいかもって思ったら、どういう風に話そう、どんな言葉が1番ぴったし来るんやろうってそんなことを考えてたら喋れないのですよ。

気がついたら、みんなもそうやってこう黙ってるから、10分15分ぐらいの沈黙って平気である。

28歳の時に初めてエンカウンターグループには参加した時は、気まずいって思ってたんですけど、だんだん慣れると、沈黙が怖くないし、あ、みんな考えてはるんやろうなとか っていうのを感じながら、そこに座ってるから、そういう意味では「面接」とか「待つ」っていうのが、だんだん苦にならなくなってきて。

5年、10年とそういったグループに接してるうちに、 もうちょっと沈黙が続けばいいのにとか。
初めての頃とは全然違う稲松に出会える。自分のことを知っていく中で、防衛的に喋っている自分っていうのに気づいて。
僕は怖くて喋ってるよね、って認めちゃうと、そういう自分、自分は自分なんだって思ったら、それでオッケーになった。
そしたら、 ここの場所では黙ってても大丈夫、防衛しなくて大丈夫なとこに行ったら喋らなくていいわけ。そしたら黙っておくこともできる。

:今の先生の話聞いてたら、沈黙って、ものすごくおしゃべりなんや、って気がしました。

:私に箱庭の手ほどきをしてくださった先生の表現をそのまま使うと、
「沈黙を聞きなさい」って言われる

(沈黙を聞く)

:コミュニケーションの中で沈黙っていうのは、何かを表現していることが多い。この沈黙で、この人は何を表現しているのかっていうのを聞きましょう、と一生懸命言われてました。

もっと単純化したら、相手に話してほしい、相手の話を聞きたい、相手のこと理解したいと思ったら、相手に喋ってもらわないとダメじゃないですか。
どうやったら、この口の重いおじいちゃんが喋ってくれるんやろうって思って仕掛けるんですよね、頑張って 。
でも考えたら、仕掛けるっていうことは、こっちが喋ってるわけでしょ。こっちが喋ってたら相手は喋れないですよ。

:うーん、確かに

:相手に喋ってもらいたかったら、こっちは黙らんと。 しごく当たり前のこと。
なんでこんな単純なことをわからずに、相手に話してほしいからって、一生懸命、語りかけてたんやろと思って。ひとこと語りかけたら、あと黙って待つ。

:それができないのがケアマネなんですよ。

:ただ、ケアマネさんの面接とカウンセリングでやってるような面接とは、目的とか主旨も違うし、 方法論も違うんやろうけど。
ただ、コミュニケーションっていう道具を使って、相手と対話していくっていうところでは一緒なので、相手に喋ってもらおうと思ったら、こっちは黙らんと無理よね。

:すごくシンプルですよね。
ケアマネージャーさんが、アセスメントができないのは、利用者さんに語ってもらってない、喋ってもらってない、聞き取れてない。
私も含めて 多分ケケアマネは自分が喋ってる、

(面接技術)

:面接技術のところで、今のケアマネさんたちに足りないと思われる点はどのあたりですか?

:対人援助の仕事してると、当たり前のように、「利用者主体」とか「利用者本位」って言いますよね。
本来利用者さんが主体なんであったら、まずは利用者さんがお話したいことをお話してもらって、それを聞くっていうのが利用者さん主体じゃないですか。
でも、若い時の稲松も含めて、未熟なケースワークをしてる人たちは、自分が聞きたいことを聞くんですよ。
例えば介護保険なんかだったら、ちゃんと聞いときなさいよっていうのが決められてるから聞かねばならないってなってしまうんですけど。
でも、相手が主体なんやったら、まず相手が何を喋りたいのかっていうのが あって、それを先に聞かしていただく。それから、あんた聞いてくれたから、あんたが言うこと聞くわってなる。

それを端的に言ってるのは「渡部律子先生」のアセスメント面接の本。
クライアントの話に合わせて情報をちゃんと取るっていうことを書いておられます。

(中略)

(ケアマネジャーに必要なもの)

:ケアマネージャーとして、ケースワークを含めたソーシャルワークをできるケアマネージャーになるために、大事なことは何でしょうか?

:社会福祉援助ってなんなんやろうねっていうことを、ちゃんと考えてるかどうか。

ただ、ケアマネさんばっかりを責めてられへん。国が求めてるところは、やっぱり給付管理がベースのような気がするんですよ。
だから、国はケアプランをこう立案してくださいって言ってるけど、介護保険が指定しているサービスを位置づけなければ、ケアマネさんは無収入になってしまう。
ちゃんとケアマネジメントしなさいって言うんやったら、ケアマネジメントに対価が支払われないと。

いくらお話を真摯に聞いても、家族間の調整をしたり、それから地域・隣近所とか自治会の人との橋渡しをし、 コーディネーションに関しては、一切お金が出ないっていうのは変でしょ。
そしたら、やっぱり無理にでも 介護保険のサービス繋がないとご飯食べていけない。

制度の歪みというか、違うやろうなとは介護保険始まった時からずっと感じてる。
だからと言って、適当に介護保険のサービス繋いどきゃお金になるから、それに合わせてプラン書いたらええねん、では絶対ないでしょう。

身体的に要介護状態になったり、精神的に要介護状態になったとしても、ベタな言い方をすると、その人らしい生活、今までの生活がちょっとでも継続できるように暮らす。
お手伝いをしようとも、ただ、やっぱりその人のことを、人としてわからないと。
病気のことだけがわかったって、その人はわからないし、 そこを支援してる人なんだっていうのがベースにないと、その勉強って、しなくたっていいじゃんっていう話になるんやろうなって。
いろんなケヤマネさんと喋ってて、しなくたっていいじゃんって言ってる人は、仕事がおもしろくなさそう。

:多分面白くないです。そんな仕事してたって。

:難しいケースなのよ~とかって言いながら、喋りながらでも、生き生き(楽しそうに)と悩んでる。
ちゃんと基本的なところ、社会福祉の原点みたいなところを、押さえとかなあかん、ていうとこです。

(対人援助の原点)

:渡部律子先生とお出会いして、初めて先生のセミナーを個人的に受けに行ったのが、介護保険が始まる1年ちょっと前ぐらい。

:関西学院大学にいらっしゃった時ですね。

:そう、その時、相談援助面接のセミナーで色々教えていただいて、ロールプレイを見ていただいたりっていう経験をした中で、僕、基本的なことがちゃんと理屈で分かってない、 だから、そういった意味では実践ができていない。カウンセリングの勉強してたので、聞くっていうことは一生懸命聞くんだけども。
ケアマネージメントとか、ソーシャルケースワークの勉強をちゃんと身につけてなかった。

人を理解するためには、どんな情報があって、それをどう繋ぎ合わせていくのかみたいな、頭が全然なかったんや、っていうのに、渡部律子先生のセミナーに参加することで気づけた。
そう、何にもわかってないっていうのが。
で、先生にちゃんと勉強したいのでって言って、先生が書かれる本 をご紹介いただいて、(「高齢者援助における相談面接の理論と実際」)
ものすごく基本的なことが丁寧に書かれてる。演習みたいなことも含めて書いてくださってて、それ読みながら、まずこういうことが理解できんとあかんねやっていうのが1つ。

次に、こういうことが理解できたとしても、実践で使えんかったらダメなんやっていうのが1つ

:わかるだけじゃダメっていうことですよね。

:すぐにできないんですよ、

実際に現場で利用者さんと向き合ったり、家族と面接する時に、うまくいけへんかったけど、でもここは聞けたよね。とかって言いながら、ちょっとずつ身につけていくんやろうなって。
理屈としては。で、 それをししてなんとかやってたんやけど、うん、ケアマネさん見ててう思うのは、うん。

ケアマネジャーは勉強すきやし、研修会も人はいっぱい来るけど、変わらないんですよ。要するに 知識をつけて、理屈を学んで、
こういうことやってわかったけど、それができるに繋がらない。そこの部分を 一緒に考えたり、ちょっとサポートするっていうことがいる。

あと、自尊感情が低い。
もう何年も前やけどうん。 日本の女子高生女子大生とアメリカの女子高生女子大生に、自分は美人やと思いますかって 質問アンケートとった時ら
日本の女の子は自分は美人だと思うっていうのは、1割いるかいないか。
アメリカは、9割が私は美人だと思うと答えた。

私は私なんだっていう育てられ方をしている人たちと、みんなと同じようにねって、育てられているので、基盤は全然違う。
ケアマネージャーさんになった人たちも、頑張ってここまでできてるじゃんっていう、「できてる」ところは見ようとせずに、「ここができない。あそこができない」っていうとこばっかし
見てないかなって。

:自分に対しても、人に対してもそうなのかもしれないですね。

:だから、スーパービジョンの面接をするようになって感じるのは、「ここできてるやん」とか、「利用者さん、こんなこと言われたら嬉しかったやろうね」って言ったらそうですかねって言うの。
ロールプレーでやった時に、僕があなたの役をして、あなたが利用者さんの役したときに、あなたが言ったセリフを聞いてどう感じた?ってきいたら「嬉しいです。」って。
「もしかしたら利用者さんも嬉しかったんちゃう?」「利用者さんの頑張ってるとこを認めてるっていうことは、ちゃんとできてたのよね」とそこまで丁寧に言わないとわからない。

:先生のスーパービジョンは、いつもものすごく褒めてもらえる。自分できてないと思っているなかでも、「でも、ここできたてたよね」って言ってくださって。次も頑張ろうっていう励みになる。
モチベーションになっていく。スーパービジョンは全てのケアマネジャーさんが受けた方がいいって個人的には信じてます。

:愚痴を垂れれる場所もいる。
できてるとこは褒めてほしい。そうやって認めてくれるから、 でもこれって考え方おかしいんちゃうん?って言っても、ちゃんと聞いてくれる。
それは、そこの関係性ができるからでしょう。だから、すごい大事やと思う。
まさしく、利用者さんへの支援の関係と同じものが、スーパービジョンの中で行われてることですね。

(これからのビジョン)

:ビジョンは、現状を維持します。
自分が関われる範囲の人たち。 仏教の言葉の一遇を照らす。自分の 目の届くところをしっかり照らせたらいいかな。

具体的に言うと、 面接とか、コミュニケーションワークのセミナーというか、ワークショップみたいなのはそろそろしたい。
国の法定研修の中身を見ると、その辺は全然取り合ってなくて、厚労省が考えてくるのは、知識偏重になってくる。そしたら、スキルとして人と対話する、人の話を聞くとかっていうのは、トレーニングするのはいるやろうなって。

兵庫県対人援助研究所13年目に入ったんですけど、実は10周年記念で、ケアマネさんとか介護職とかのためのエンカウンターグループみたいなのできないかなって、10周年企画で描いてたけど、コロナで全部集まれなくなった。
手付かずになってたけど、対話をするとかロールプレイするとか、そういったのをやりたいなとは思ってます。

(気づきの事例検討会)

:兵庫県は渡部律子先生のおかげで、事例検討に事例を出しても責められないと感じてる人が、圧倒的に多い地区なんですよ。
他府県に事例検討会のことで呼ばれたり、面接のことで行ったりしたら、みんな
どれだけ叱られるんやろうとか、どれだけ責められるんやろうってガチガチで来る。でも、ご存じの通り、そんなやり方は一切しない。

そういうのはやっぱり新鮮みたいですよ。気付きの事例検討会っていうのが、解決方法を探すのが1番ではなくて、
しっかり振り返ってみましょう、どう理解していたのか、振り返って一緒に考えましょう。
でも、そういうことをやった経験がある人が、圧倒的に少ない。

(難しいことをやさしく)

:面白がってくれる人がいるので、ご縁があるんやったらいきますよという感じですね。だから、 こっちから
展開してっていうのはあんまり考えてないけど、言われたとこではするし、そこに発信して、面接のセミナーも
今後やっていこうとは思ってます。

講師をするにあたって、大事にしたい言葉は、劇作家の井上ひさしさんの言葉。

「難しいことを、やさしく
 やさしいことを、深く
 深いことを、おもしろく
 おもしろいことを、まじめに
 まじめなことを、愉快に
 愉快なことは、愉快に」

結構有名な言葉だけど、見つけたときに、やった、と思った。

:深いですね

(対人援助職は、どこを向いて仕事をするか)

:ケアマネジャーっていう仕事を 誇れるかっていう話です。
僕は、国に認められるケアマネージャーをまず目指したらあかんと思う。
利用者さんとか、ご家族に認めてもらえる援助職者なのかどうかだと思います。

そういう利用者、ご家族が増えてきたら国は認めざるを得ない。
利用者主体っていうことを考えて、私たちはどっち向いて仕事してるんかって言ったら、やっぱり利用者さんの方向いて仕事しているから、対人援助職者だと思うんですよ。
いろんなタイプの利用者さんはいますけど、利用者さんがケアマネさんのおかげで助かったわとか、ケアマネさんがおってくれたから諦めとったけど、家帰れてんとか
もっと込み入ったケースになったら、ケアマネさんの一言で、家で死のうて思えたとかって。
そういう利用者さんがいっぱい増えてくると、利用者さんがケアマネジャーのことを認めてくれる。そうなると、 国がケアマネジャーに対してひどい扱いをするっていうことを国民が許さないっていう風にできるとね。理想やと思うんですよ。
100パーセントそうなるかどうかはわからへんけども。やっぱり理想は目指したい。
国に直接認めてもらうんではなくて、利用者さんに認めてもらえる専門職に。
その方向に向かっていかないといけないと思います。

:ありがとうございました。
:ありがとうございました。