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2023.03.30

時本寿子さま~心が震える感動を~

三木山陽病院、総合支援相談室室長で、看護師、主任介護支援専門員でもある

時本寿子様にお話を伺いました。

急性期医療から在宅へシフトした経緯や、在宅ケアへの思いなど。

T:時本寿子

  時本寿子さま インタビュー

◆時本寿子様は、現在、三木山陽病院総合支援相談室長、ホームケア部部長として勤務されています。主任介護支援専門員でもあり、看護師さんですが、看護師になろうと思われたきっかけは何かあったのでしょうか。

T: 本当は美大に行きたかったのですが、親に美大ではご飯は食べられないといわれ、

 母から「きっと白衣が似合う」と言われて。(笑)それに引っかかって現在に至るという感じです。

◆はじめてお目にかかったのは急性期病棟の婦長さん(看護師長)の時。確かにすごくお似合いでしたが、怖いというのが第一印象でした。その後、まもなく白衣を脱いで在宅ケアにシフトされましたが、そのきっかけは何だったのでしょうか。

T:白衣を着ているその時代は、「なんと傲慢な私」って、黒歴史なんです。

  患者さんには、「待ってね」を言ってばかりで、患者さんの満足につながらない。

在宅なら患者さんにじっくり時間が使えるということ、それと経営的なマネジメントもやってみたかった。介護保険ができる前に、これからは在宅の時代が来ると思って、在宅ケアの勉強もしていました。介護保険の始まりと同時にケアマネジャーの試験にも合格して、それが始まりです。

T: 在宅には、私の知らない世界がそこには 広がっていた。今は、ケアマネジャーが自分の生きる道だと思っています。もう20年以上になります。

◆時本さんの知らない世界とは、具体的にどんな世界だったのでしょう。

T: そうですね。ケアマネジャーというよりも、いろんな職種の人と触れ合ったっていうのがすごく大きいです。在宅って合同で研修したりすることが多いですよね。社会福祉士さんとか。なんと自分の気持ちを言葉にするのが上手な人たちなんだろう、

なんと人の心を汲み取るのが上手な人たちなんだろうというのが衝撃でした。

T: だから、曖昧な感じでこの仕事がやりたいって思ってたのとは全く違う。

それぞれのお家にも、それぞれの明かりがついてるみたいに、それぞれの価値観があって、それぞれの幸せがあって。

T: こうだから幸せとかじゃなく、幸せの形は人それぞれだっていうことが わかった。

看護師さんて、似たような教育を受けてきてるので、共通言語が多い。コミュニケーションはスムーズなんだけれども、他職種の人たちと共通言語が少ない中で、どうコミュニケーションしていくかが難しい。

コミュニケーションって、心が通わないと、できない。

人の気持ちを思いやるとか、 助けてもらったら助けるとか。

法人(会社)の間の壁を越えたり、 職種の壁を越えて、コラボレーションする・お互いを尊重することの大切さがよくわかりました。

T: 看護師時代、黒歴史って言いましたけど、その時は本当に拷慢で、そんなこと全然わかってなかったと思うんですよね。

この職業になったことが自分の人生を豊かにしてくれたとも思ってる。

ケアマネジャーという職種には、心から感謝してます。

(ケアマネの仕事は)やってもやっても、楽しいです。

◆時本さんは元職看護師さんですが、社会福祉の専門職の方と話している感覚になります。

三木山陽病院の総合支援相談室やホームケア部とは、どのようなお仕事をされているのでしょうか。

T: 三木山陽病院の総合支援相談室は「なんでもやる」を目指してます。

  一般的には入院されてる方の退院の支援であったり、困りごとのお話を伺って、いろんなサービスとか、福祉に繋ぐ。そのためのお話をしっかり伺う。

前方支援としては、他の病院から転院を受け入れたり、外来でお困りの方のご相談乗ったり、介護保険申請代行、いろいろありますね。

◆後方支援としては私たちケアマネジャーのための情報のやり取りやカンファレンスの支援をお願いしていますね。

ホームケア部はどのようなお仕事をされているのですか。

T: ホームケア部は昨年4月に新設をされた部なんです。

 在宅の連携を取るための部門です。

今は今年4月にオープンするサービス付き高齢者住宅と、明日オープンする(3月1日)訪問介護の事業所の準備をしています。

T: サービス付き高齢者住宅の1階には、地域密着型の18人規模の通所介護(デイサービス)をオープンするので、その準備をしています。

◆事業所はどこにオープンするのですか。

T: 三木市別所町小林です。サンフォレスタ三木 です。

◆受け入れ規模は、どのくらいですか。

T: 30室あります。うち、10室はもう家具付きで、いつでも身体1つで来ていただけるお部屋も準備しています。

◆それは、ショートステイ的な利用も可能ということですか。

T:今のところ調整中ですが。例えばターミナル期で自宅に帰りたいけれど、準備ができない、間に合わないとかの方であったり。入所の隙間や、自宅に帰るには不安があるけれど、というような方のお役に立てたらとは思っています。

T: 私たちがどこまでできるかというのはありますが、地域のニーズに合わせて変化できる私たちでありたいなと思ってるんです。

 今は無理かもしれないけれど、いずれ力がついてくれば、変化し続けていきたいなと思っています。

◆母体が病院なので、医療ニーズの高い方も受け入れてもらえるという期待がケアマネにはありますね。

T:そうですね。将来的にはそこを目指したいです。

スタッフがこの事業に関わることによって自己実現できたり、仕事によって幸せだって思えること、そこもやっぱり目指すところではあるんですね。

この経験で視野が広がったり、新たに自分たちで起業しようかって思ったり。

そんな若者が弾みがつくような、そんな場所でもありたい。

今までの経験は全て出し切りたいなと思っています。

T:自分は十分、仕事で幸せをもらってきたので、これをスタッフが同じように、

あー、この仕事に携われて幸せやなとか、この仲間に出会えて嬉しいなとか、もっと勉強したいなとか思えるように。先輩としてなんとか役に立てたらなっていう風に思ってます。

◆ 仕事にも子育てにも全力で頑張ってこられた時本さんですね。

 先輩として、後進の方々へ伝えたいことはどんなことでしょうか。

T:うちは、子どもがアスリートで、指導者の方にすごく恵まれました。

その先生がおっしゃったことで、すごく心に残ってるのは、

親が子供にできる教育は、「大人ってこんなに楽しいもんなんだ」って子供に思わせることと言われてました。大人って素敵やな、だから早くな大人になりたいな思える姿を見せること。それが1番いい教育なんじゃないかっておっしゃったんです。

いつも楽しい私、でも自分の感情には素直で、辛い時には辛いって言える。

それがコツかなっていう風に思ってます。お母さんすごい楽しい、仕事も楽しい。

遊びも楽しい、大人は楽しいというとこかな。

◆時本さんは、いつも楽しく子育てもされているように見えていました。

T:それは、周りに恵まれていたからですね。

◆これからのビジョンがあれば、教えて下さい。

T:ターミナルケアマネジメントですね。

ターミナルケアに携わっていくっていうのが、自分の大きなテーマなんです。

ターミナルケアマネージメントは、

心が震えるような感動もたくさんあるし、切ない思いもいっぱいするんだけど。

例えば、3ヶ月くらい、私たちのチームに体を預けてください、そしたら、幸せにしますっていうようなマネジメントができたらなって思ってます。

T: あとは、とにかく興味を持ったことは必ずトライしてみる。

今、飽きずにやり続けているのは、競技ダンスです。

コロナ禍で、なかなか試合に出れなかったりするんですけど、試合に出続けたいなと

は思ってます。他県で優勝すると、承認欲求も満たされますね。

T:ターミナルケアマネジメントに戻ると、

ACP。アドバンスケアプラニングについて。人生会議ですよね。

自分の人生について考えるっていう機会は作った方がいいかなと思うので、一般市民の方とかに考えていただく研修が機会ができたらいいなと思っています。

◆新たにケアマネジャーになった人、介護現場、医療の現場も含めて

後進にエールを送るとすれば?

T:ケアマネジャーって、個人のカラーっていうのがすごく出ると思うんですよね。

自分らしさ、自分の良さっていうのもあると思うから。自分のいいところを発見して、

自分のいいところを伸ばす。自分で褒める機会を作る。

そういうことができる人になってほしい。

それと、在宅って、心が震えるぐらいの感動があるんです。時間の使い方1つでその方にしっかり関われるし、向き合える。自分の鏡でもあるような気がするんですね。

この利用者さんのこと大好きと思ってたら、やっぱりそれは帰ってくるし、

この人ちょっと面倒だなと思ったら、やっぱりそれは返ってくる。やっぱり利用者さんは自分の鏡やなっていう風に思うんです

あと私は、ご家族の良いところを居宅サービス計画書に書くようにしてるんですね。

自分たちの人生ってすごい、今こんな苦しいけど良かったよねっていう価値観を

共有できる、そんなケアマネさんになってほしいなと思います。

この仕事ってもうダイレクトにありがとうって言ってもらえる。こんな仕事って本当に少ないんじゃないかなと思うんですよ。

私たちがいろんな人の力を繋ぎ合わせられる。コンサルテーションネットワークって言うんでしょうけど。

いろんな方の力を借りられる、自分磨きをする、それが必ず結果になるのが、ケアマネジャーの仕事だと思うから。

諦めずにコツコツと自分を褒めながらやってほしいと思います。そして、必ず利用者さんも褒めてねって思っています。

◆ありがとうございました。