訪問看護ステーションけんたの飯田真智子様にお話を伺いました。
〇 訪問看護ステーションけんたの飯田真智子様にお話を伺います。
自己紹介をお願いいたします。
I: 飯田真智子です。正看護師の専門学校を21で卒業し、医療法人病院に勤めました。た1人目の子供の出産を機に、夜勤ができなくなったので、 24か5の時から病院内の訪問科という外来所属で訪問看護を始めました。外来とか病院の中もやりながら兼任しながらですけど、ずっと訪問看護を続けて、今で25年 になります。
訪問看護ステーションけんたを立ち上げて、ちょうど4年になります。
◆ 訪問看護 ◆
〇 訪問看護は、看護師さんの中でも少ないですね。ベテランの方しかできない印象があります。
I: 1人で活動するっていうことで、1人で判断しないといけないとか、携帯電話、緊急対応でちょっとまあ縛られる とかっていうので、敬遠されることが多いんです。
しんどいこともあるけども、その分やっぱり、やりがいがある。
患者様との信頼関係が結べれば、とてもやりがいのある楽しいお仕事やと思います。
〇 訪問看護がなければ、在宅介護は難しいですね。
I: そんなこともないですけどね。逆に私たち仕事の内容って、注射とか点滴の医療処置以外は、介護士さん、ヘルパーさんと同じ内容です。それを一緒に行ってくれる多職種の人たちっていうのは、すごく欠かせない存在やし、もっと仲良く連携していきたいです。
〇 そうですね、在宅はチームを作って、チームで動く。チームの中では、1足す1じゃなくて、掛け算になる印象ですね。
I: 掛け算したりしてくれるのが、ケアマネジャーさん。
〇 ありがとうございます
I: 医療依存度の高い患者さんなんかは、やっぱりケアマネさんがしっかりわかってくださると、その人の生活が過ごしやすいものになるので、特に連携をとっていきたい。
〇 そうですね。ただ逆にケアマネ自身が医療知識がなさすぎて、看護さんお願いっ丸投げをしてしまったりする人もいるので、そういうところはやっぱやりづらいですよね。
I: 私たちは3年間勉強してきて、医療知識があるのが当たり前。ケアマネジャーさんは、介護保険のことを専門に勉強して制度のことをしっかり勉強されてるし。(医療のことは)知らなくて当たり前だし、それを理解してもらえるように関わっていくっていうのが、訪問看護師の役割でもあると思ってます。
〇 そう言ってくださると、ケアマネジャーには優しいですね。
でも、ケアマネが、それに甘んじてしまっている。もっと医療側と話する時に、医療の勉強しなさい っていうのは、やっぱりすごい今言われています。
◆ ケアマネジャーに望むこと ◆
〇 訪問看護師さんの目から見て、ケアマネはもっとこうしたら良いのに、という点はありますか。
I: そうですね、コロナ禍っていうのも、この2、3年あったんですけど、 もっと患者さんのことについて話ができる機会があればいいんかなとは思います。
I: もちろん、zoomとか書面で評価っていうのも、コロナ禍で仕方なかったし、お互い忙しいから仕方ないんですけど。会って話することで、重要な情報でなくても交換ができて、そこから意見が出たり、プランが出たりすることってあると思うので。
気軽に連絡が取れるような関係になりたいなって思います。
〇 ケアマネの中には、訪問看護さんに連絡取るのどうしようとか迷う人は多い。
I: 気を使ってくださって、忙しいんちゃうかとか。看護師さんも気が強い人も多いので、怖いとか、よくヘルパーさんとかからも言われるんですけど(笑)。そんな時は、ちょっと怖いから優しく教えてとか言ってもらって、色々聞いてもらったらいい。
全然怖くないので。
I: ついつい医療用語使ったりするので、わからなかったりもするかもしれないんですけど、私らからしたら、「わからないことがわからない」かもしれないので、 聞いていただけたら、
お答えさせてもらうし、逆に私たちも制度のことって、わからない。私たちも勉強していかなあかんなと思ってます。補い合う、みたいな。
〇 今後ますます訪問看護の力が必要になってきますね。
I:そうですね、在院日数がどんどん短くされていって 、急性期であろうが、終末期であろうが、医療依存度の高い方が、治療中の方も含めて家に帰ってくる。
家にいながらも、病院と同じような治療とかを受けれるように、勉強していかなあかんなと思ってます。末期の方なんかだったら、いっぱいチューブや薬やついてるけど、どうしても家に帰りたいっていう方もおられるので。
医療依存の高い方にも対応していけるように、体制も整えていきたい。
〇 どうして看護師さんになろうと思われたのですか。
I: 元々そんなに看護師興味なかったんですけど、 高校のクラスが周りに看護学校に行くお友達がすごく多くって。
国家資格だし、取っておいて損はないかなと思って、 看護学校に行ったのがきっかけです。行ってみると、勉強がすごく楽しい。高校の一般教養とは全然違う内容だし、人と関わって、色々お仕事をしていくのが、すごい 楽しいって思えるようになって。
みんなは実習は辛いとか、厳しいとか苦しいとかいうけれど、私すごい実習楽しかった。
看護学校の3年間無事に楽しく終えて、国家試験もなんとか受かって。
◆ 震災の年の就職 ◆
I: 1995年1月に震災があって、4月入職でした。
私初めに就職した病院は神戸の長田にある神戸協同病院でした。
震災の翌日に看護師長さんから電話があって、こんな病院やけど、就職してくれますか、と。もちろんですって答えて4月から でしたが、まだ電気も水も通ったばっかりだし、周りは真っ暗だし、何にもないし。がれきの山の中でした。
I: 下町の患者さんたちにもまれて、看護も楽しくさせてもらいました。
仮設住宅もいっぱいあって、8割ぐらい、仮設を回ってましたね。
◆ 患者さんから受け取る思い ◆
〇 たくさんの患者さんとの交流の中で、印象に残っている人はありますか。
I: 癌末期食道癌の末期の方、まだ54とか5歳の方で。酒をよく飲まれてて、タバコも吸われてた方なんですけど。食道も気管もメタメタで、、癒着しちゃって治療もできない。
病院からも治療できないって言われたけど、治療に対して、どうしても本人が諦めきれない。訪問に行くたびに、こうしたら、ええんちゃうんか、ああしたら、ええんちゃうかっていう。その治療に対する思いで、看護師さん、こんなことできんか相談される。
IVHポートが入ってて高カロリー輸液をしに行ってたんですけど。
1回行ったら3時間ぐらいは帰れない。
I: その熱意というか、どうしても治療がしたいっていうので、セカンドオピニオン、サードオピニオン行きまくってました。
結局、最後はある病院で軽い抗がん剤治療をしてくれるところが見つかって、そこに行って亡くなられたんですけど。
その人は生きるっていうことに対してすごい意欲があった。
どうにかしてあげたいけど、してあげれないっていうその葛藤。
もう何をするっていうことはできないけど、とにかく寄り添って聞く。一緒に悩むっていうことしかできなかったんですけど、それは結構印象に残ってます。
I: 解決できなくても、一緒に悩むっていうことが、その人には必要やったんかなって、思います。
病院とかだと、治療が目的。治療ができなくなったら、やっぱりそれ以上ってなかなか聞けない。
そしたら、患者さんって見捨てられたって思っちゃうんですよね。
そうじゃないっていうのを、一緒に話しながら聞きながら、伝えていくっていうのも1つの役割かなと思って、3時間行ってました。
◆ これからの夢は ◆
I: 看護小規模多機能っていうのができたらなって思ってます。
1人の患者さんに対して、24時間お預かりしてみることもできる。
日中だけ来てもらうこともできる。家に行くこともできるって、もういろんな形であのお手伝いすることで生活できると思う。
それができるのが私の中での理想です。看護小規模多機能だったら、医療依存度の高い方もお預かりしたり、お手伝いできる。
〇 そのためには、看護師さんが必要ですね。
看護師さん不足もありますが、訪問看護師さんは特に難しいのでは。
I: 全然そんなことなくて。もちろん、その場にいるのは1人なんですけど、
いくらでも電話とかで、他のスタッフに相談もできるし、もし1人で 手が回らないんだったら、お助けにもう1人、もう2人訪問一緒に同行することもできる。
I: 先生にも、もちろん24時間連携取って連絡もつきますし、あとは、まあ在宅でできること、医療処置でできることって限られているので、もうここまでして、無理だったらもう搬送っていうのがある程度決まってしまってる。できることはやって、それ以上は病院にお任せする。
なんなら新卒でいきなり訪問看護っていうのも、ちゃんと教育カリキュラムができてるステーションとかだと、受け入れれたりもしてます。
在宅楽しいので、1人の患者さんにゆっくり時間も取れるし、相談しながらやりたいことも一緒にやっていけるので、来てほしいんですけどね。
◆ チームケア ◆
I: それぞれの立場で、患者さんの見える部分って違う。
看護から見た何々さん、ヘルパーさんから見た何々さん、ケヤマネさんから見た何々さんそういう情報をお互い共有したい。
なんか、看護師さんって「上」って言われたり、怖いって言われたたりとかするんですけど、全然そんなことない。ケアマネさんやヘルパーさんにしか見せない部分もあるし、そういうのを色々こちらも教えてもらって。医療的な知識は看護師に聞いてもらって、みんなで 患者さんを支えていけたらいいなって思うので、なんでも質問があったら聞いてほしいし、私たちも、わからないことがあったら聞くので。
I: なんでも、聞いてみてください。
〇 ありがとうございました。